※ 拙文、稚拙な分析です。マドリー目線なのでアレルギー反応感じたらブラウザバック推奨。決してユヴェントスを煽るようなことは書いていませんが、リーグ自体の在り方に言及して個人的に思ったユヴェントスの問題点に触れていますのでお気をつけください。的はずれかもしれないですし。

6月3日、現地時間20:45 ナショナルスタジアム・オブ・ウェールズ
この日、2016-17シーズンのヨーロッパ王者を決めるUEFA CHAMPIONS LEAGUE FINAL が行われた。
相まみえるは、セリエA6連覇を引っ提げて欧州のタイトルに渇望する白黒の雄「Juventus」。そして、5年ぶりのリーガ・エスパニョーラのタイトルを奪還し、現行制度史上初の連覇に燃える白き巨人「Real Madrid」。
古くは'98シーズンの決勝、あの日取れなかった忘れ物を同じ相手から奪いに来たJuventus、最近では14-15、デシマ後の連覇を彼らに阻止された雪辱を果たし、連覇、12回目を目指す欲深き昨年王者Real Madrid。

では、各チームのスターティングメンバー(この画像作るの中々大変だった(笑)。まずはユヴェントス。

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一方、レアル・マドリード。ウェールズが開催地ということで、ベイルのスタメンを予想する声もあったが、ジダンは確実策としてイスコを先発させる。クラシコでのアレがなかったらどうなっていただろうか。そして、ジダンがリーガで愛して止まなかったルーカスバスケスがベンチ外だったことも少々驚きである。(国際映像ではクロースとモドリッチ、ラモスとヴァランがそれぞれ逆だったのですが、試合の様子だと画像のポジションだったように思えます。)

スライド2

前半がキックオフ。立ち上がりからユヴェントスの激しい寄せにマドリーは中々ボールを保持することができません。
【前半3分】
さっそくバイタルエリアでボールを受けたイグアインが本日一番のシュートを放ちますが、ナバスによって阻まれます。
【前半5分】
カルバハルが中に絞っていたことによってフリーとなったマンジュキッチのセンタリングにピャニッチが合わせるもナバスの正面。ユヴェントスとしては幸先の良いスタート。
【前半11分】
クロースが縦へ仕掛けたところ足をかけて阻止したディバラが1枚目の警告。
【前半19分】
モドリッチから受けたクロースが縦へ仕掛け、ベンゼマが少しひいてフリーで受けたところでワンタッチで逆サイドへ切り返しロナウドへ。ロナウドから右サイドを駆けるカルバハルにパスをし、カルバハルがマイナスに折り返したところをロナウドが合わせてマドリー先制。カルバハルにパスが渡った所でユヴェントスのDFが意識を一斉にそちらに向けましたね。ロナウドはすかさずフリーとなる動きを見せましたし、カルバハルもしっかりピンポイントに折り返しましたね。
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【前半26分】
ボヌッチの素晴らしいフィードをアレックス・サンドロがダイレクトで折り返し、イグアインが足で落としたところをマンジュキッチがスーパーボレー。ここ、ナバスのポジショニングの悪さを指摘する声も多かったのですが、これは仕方ないかなと思います。ただ、デヘアやクルトワであれば・・。
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【前半30分】
マルセロの胸での落としが中途半端になったところをダニエウ・アウベスに突かれ、独走されかけたところラモスが体をあててブロック。ラモスに警告1枚。

【前半44分】
カゼミロの力ないシュート。誰もが「何やってんだ」と嘆く。しかし、これが後に大きな旋風を巻き起こすことをまだ誰も知らない。

<前半総括>
ユヴェントスの激しいプレッシングで中々中盤で組み立てることができない。特に攻撃の起点であるカルバハル、イスコらがボールを持つと2、3人で寄せてくるので後ろに下げざるを得ない。また、イスコがサイドに張り気味だったことや、前線にボールを収められない状態が続き、攻め手に欠くマドリー。ユヴェントスがボールを持つ時間が目立つ。前半のマドリーの先制点は素早いカウンターと彼らの技術の高さの賜物。ユヴェントスの同点弾はアレックス・サンドロの折り返しが見事だった。前半はカルバハルサイドはこのアレックス・サンドロやマンジュキッチを止めることができていなかった。また、カゼミロ、モドリッチ、クロースらがポジションに関わらず顔を出してなんとか糸口をつかもうとするも、ユヴェントスの速いプレッシングに阻まれ、後ろに下げざるを得ない状況が続く。

【後半15分】
カゼミロ、フラグ回収。リーガでも特にウィンターブレイク明け以降の彼は攻撃に欲を出すようになって、それがたまーに報われていたのですが、ほとんどは上がったところが穴になっていて、最近だと守備が雑で相手をただただ削ってしまうみたいなプレーも多かったです。が、彼の放ったミドルはケディラのかかとをかすめ、アウトサイドで回転をかけたようなスーペルゴラッソになりました。マドリディスタの反応はみんな「カゼミロ(笑)」とシュートを決めたのに笑われていましたねw。ただ、この1点はマドリーにとって非常に大きな勝ち越し弾だったと思います。マドリーの選手たちに心のゆとりをもたらしました。今季のマドリーはこうしたわけわからんゴールで何とかなってますよね。
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【後半18分】
カゼミロのフィードをカットしたアレックス・サンドロのパスを後ろからカットしたモドリッチがカルバハルにスイッチして駆け上がり、ラインギリギリでセンタリングをあげたところをロナウドがブッフォンの正面から逸らすように合わせてマドリー3点目。ここでもロナウドのオフ・ザ・ボールでの動きが功を奏す。モドリッチに視線を集めるユヴェントスDFのスペースに一気に入りこみました。ドリブルのキレを失った彼が得点マシーンになったのは決定力の高さもそうですが、こうしたゴールをとることに特化した動き出しの工夫があってのことですよね。
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【後半20分】
ユヴェントスが動く。バルザーリにかえてクアドラードを投入。

【後半26分】
ロナウドの持ち上がりを後ろからスライディングしたクアドラードに警告1枚。

【後半31分】
ベンゼマにかえてベイル。地元凱旋。

【後半32分】
ディバラにかえてレミナ。今日は攻守に渡りほとんど目立つことができなかった。

【後半36分】
イスコにかえてアセンシオ。イスコは後半ユヴェントスの運動量の低下もあるが、ボールをうけると積極的に仕掛ける姿勢でユヴェントスの守備網を壊そうとする動きは脅威となった。ボールキープの技術は前半からずっと光っていた。

【後半37分】
クアドラードのドリブルにボールに対してスライディングにいったラモスに巻き込まれたクアドラードが倒れる。そこで一見手で押して「ワリィ」ってやっただけだったつもりが、クアドラードがラモスの足をガッツリ踏んでしまい、ラモス卒倒(笑) ラモス悪いやつですが思惑通りクアドラードをハメてしまい、2枚目の警告を受けて敢え無く退場。途中出場にしてわずか17分で退場してしまった。

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【後半43分】
クロースにかえてモラタ。クロース、スタンディングオベーションに応えるように拍手。そしてガッツポーズ!勝利を確信していたよう。

【後半45分】
ロナウドの壁ドンFKの跳ね返りを拾ったマルセロが時間稼ぎに見せかけた切り返しドリブルでユヴェントスのペナルティエリアに侵入し、中のアセンシオにピンポイントのパス。アセンシオがピシャリと合わせて決定的な4点目。マルセロの予想外の素早い仕掛けで、壁を作っていた状態からまだ組織化されていなかったユヴェントスの守備網の隙を突くバイタル中央にスペースが生まれたところをアセンシオは上手く侵入した形。
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【後半48分】
試合終了!レアル・マドリード、12回目の栄冠、史上初の連覇達成!

<後半&試合総括>
前半とうってかわって、マドリーペース。ユヴェントスの運動量が落ちたことが大きく効いている。クロース、カゼミロ、モドリッチ、イスコが中盤で受けたときのプレッシャーが前半とくらべて弱く、自由にボールを受けて前線、サイドを使える状態となっていた。この状況の中でカゼミロがもぎ取った2点目はマドリーに大きな心の余裕をもたらした。クロースやマルセロのプレーを見てリーガで見せるようなテクニカルなプレーが増えたことからもそれを感じた。この試合に限ったことではないが、モドリッチにボールを渡せばほぼ前進する。世界一の中盤の一人だと思える。クアドラードの退場など水を差す展開もあったが、後半はユヴェントスはダニエウ・アウベスを除いてはほとんどボールを受けても仕掛けることができずに引っかかり、マドリーのボールとなってしまっていた。ましてイグアインはボールを受ければサイドに逃げるだけの仕掛けを多用し、ヴァランやラモスに読まれきっていた。ユヴェントスの中盤の運動量の低下も相まって後半はマドリーが一方的にペースを握る展開となった。

さて、上述のような問題点が起こった根底には、ユヴェントスは立て続けの理不尽な失点に為す術がなかった感じがする。失点後のユヴェントスのメンタリティに対する指摘の声も散見されるが、実際ピッチ上でプレーする選手たちが「マドリーのどうしようもないプレー」で続けて失点し、2点差開けられてしまうとなかなか気持ちを保つことは難しいと思う。決してセリエAをディスるわけではないが、ユヴェントスがやはり頭一つ抜けている状況だとこれほど追い込まれることは珍しいケースのように思える。そうすると、こうした1−3で勝ち越された展開に対して勝ちに行くメンタリティを保つことは難しいのではないか。まして中盤の運動量が落ちてイグアインやマンジュキッチにボールが収まらない状況では攻め手に欠く中で立て続けに失点すると、ますますそうした難しいメンタルを助長するのではないだろうか。

一方レアル・マドリードは勝ち点93でリーガを制したものの、リーガでの試合は激闘に次ぐ激闘で、何度も後半の嫌な時間帯に逆転を喫した展開があった。それでも最後には逆転するという試合を幾度となく繰り返した結果、どんな不利な状況にもめげない「勝利のメンタリティ」を身に着けられたと思っている。「何とか出来る」というメンタルが育ったのではないか。今季のマドリーを見ていて思ったのは「何故か最後には勝っている、追いついている」だった内容は酷いのに、何故かいつも最後には何とかなっている試合が多かったのである。ユヴェントスの前半の内容を見れば「後半にマドリーが2失点目するのは時間の問題だ」と感じた。しかし、後半ユヴェントスは明らかに運動量を落とした。モドリッチやクロース、カゼミロが自由になったのだ。オーバーワークだったのだろうか。普段のユヴェントスの試合を見てない口でさんざん偉そうに言ったが分からない(笑)。
一方、マドリーはこうした激しい寄せを売りにするチームとリーガでもチャンピオンズリーグでもここ数年何度も戦っている。「アトレティコ・マドリード」だ。シメオネ政権以降、運動量を売りに激しいプレッシングで思うようにボールを持たせてくれない、ボールを持つことが出来てもそれは「持たされている展開」にしてくるこの「アトレティコ・マドリード」と何度も戦っていることがマドリーのユヴェントスへの対応の糧になっているように思える。前半のユヴェントスのオーバーワークに対してあくまでマドリーはマイペースであり続けた。激しい寄せを受けても冷静にいなし、チャンスが来るのを待ち続ける。アトレティコ・マドリードとの複数回に渡る殴り合いの中で得たこの経験こそが今日の試合のような冷静な姿勢を生み、「前半の必要最低限」の結果をもたらした。後半で大きく攻勢に出るための布石である。(画像:5月3日 CL 準決勝 vs アトレティコ 1stレグ)
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マドリーが今回、ユヴェントスに勝利を収めることができたのは、個人の力量うんぬんもあるかもしれないが、今日の試合で根本的に差がついた部分は、普段の自国リーグでの試合が生んだ経験とメンタリティの差にあると思う。

稚拙な勝因分析の文章だったし分析自体が稚拙だったと思うけどそこはお許しを。タクティクスに関して深い話は僕はできないので(笑) 

最後に、見事に連覇を果たしたレアル・マドリード。他クラブへ行けばレギュラーを張れるようなベンチメンバーを腐らせずにマネジメントしたジダンには脱帽。そしてジダンの期待に答え続けた若手たちの台頭(アセンシオ、イスコ、バスケス、コヴァチッチら)もレアル・マドリードの今年の大躍進に大きく貢献している。今季のレアル・マドリードは、誰がいなくても成り立たなかった。普段はベンチを温めている選手であっても。特にナチョはベンチでも腐らずトレーニングを続け、CB、SBの緊急事態にはいつでも準備OKで出陣し、しっかり仕事をこなしてくれた。彼には感謝してもしきれない。ナチョの不断の努力は今季は特に光った、マドリー在籍以来一番の出場時間なのではないだろうか。

リーガのタイトルも、連覇も、今年のマドリーはもっとも「チーム」でもぎ取ったタイトルではないだろうか。最高のシーズンをありがとう、来季も楽しみだ!!!!

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